ぽかぽかな日々

ミステリーと恋愛小説が大好きな、雑読系主婦の読書日記です。

人生はあはれなり・・・紫式部日記 小迎裕美子/紫式部

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前回の『篤姫』に引き続き、
こちらも大河ドラマ
『光る君へ』をより楽しむために読んだ。
私には現代語訳でも
読むのに苦労しそうなので、
コミック版の
こちらの作品を購入したのだけれど、
これが大正解だった。

絵で分かりやすく
ユーモラスに
説明されているうえに、
『紫式部日記講座』として
文章での解説も
掲載されていて、
とても読みやすくて
面白かった。

想像とは全く異なり、
めちゃめちゃネガティブな紫式部。
あんなに面白い『源氏物語』を
書いた人だとは、
とても思えない。

道長のスカウトにより、
中宮彰子の女房となった
初出勤の日に、
他の女御たちから
無視されたことにショックを受け、
5ヶ月間も家に引きこもった
エピソードや、
自分自身を
優雅そうに見えても
水面下では地に足がつかず
もがいているであろう
水鳥に例え、
『私も地に足がつかない
不安定な人生を歩んでいる』
と、つらいつらいと
ネガティブぶちかましている様子に、
同じくネガティブな私には
共感しかなかった。

一方、
道長に命じられて
記録した、
中宮彰子の加持祈祷の最中での
壮絶な出産の様子と、
その後の女房たちの
泣きつかれ
化粧の剥げた様子の描写などは、
紫式部のあまりにも
冷静な観察眼がとても愉快。

『出る杭は打たれる』と、
自身の才能を隠し
馬鹿なふりをして
周囲に溶け込もうと
必死にもがいていた紫式部。
そのことが
さらなる憂鬱を引き起こす。

物凄く真面目で人だったのだなと
思うとともに、
幼い頃の父親の声掛けが
清少納言の父とは異なり
ネガティブだったことが、
彼女たちの性格形成に
強く影響したのではないかということに、
深く頷いてしまった。

些細なことでも
気に病んでしまう紫式部。
とても生きづらい性格に、
親近感しかなかった。
この先の大河は
どの様に展開していくのだろうか。
本作品を読んで、
紫式部が大好きになった。



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天璋院篤姫 上・下 宮尾登美子

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毎週楽しみに観ている、
再放送中の大河ドラマ『篤姫』を
より楽しむために、
原作本となる本作品を読んだ。

島津家分家に生まれ育った篤姫は、
18歳で藩主斉彬の養女となる。

学問好きで才覚・器量を
斉彬に見込まれた篤姫は、
斉彬の画策により
近衛家へ更に養子縁組し、
13代将軍・家定の正室として
入輿することになる。

斉彬から
『次の将軍を一橋慶喜を推挙せよ』
との密命を受けた篤姫だったが、
江戸城大奥での生活を
過ごすにあたり、
『徳川のために』
との気持ちが大きくなる。

それは
自分自身が
対面した慶喜に
嫌悪感を覚えたことも重なる。
その気持ちは、
篤姫は生涯にわたって
慶喜を嫌い抜く程の強いものだった。

今まで自分を支えてきてくれた
幾島との気持ちのすれ違いや、
偉大な父と思っていた
斉彬への思いの変化。
そして、
ひたすら
徳川のためを思う
大奥総取締の滝山との
新たな絆が感慨深かった。

また、
家定との関係は
痛々しく、
そのあっけない別れには
驚く間もないほどだった。
大河ではどの様に
ふたりの関係が
描かれるのか楽しみだ。

14代将軍・家茂の
正室・和宮との
嫁姑問題は有名だけど、
実際は
本人同士より
女中たちの諍いにより、
拗れまくってしまったのだなぁ。
維新後の
仲睦まじい様子が
とても微笑ましく、
もっと早くに
和解していたらと
思わずにはいられなかった。

江戸城無血開城のために
力を尽くした、
篤姫を中心とする
大奥の女性たちの力強さに、
たくさんの元気を貰った。

それにしても
慶喜の酷さと、
嫌われっぷりは凄かった。

先日読んだ『西郷どん』でも、
西郷さん慶喜のこと
物凄く嫌っていた。

鳥羽伏見の戦いで
敗戦濃厚になったとたん、
大勢の部下を置き去りにして
ひとりで
大阪から江戸へ
逃げ帰った様や、
自分を頼ってきた
天狗党への扱いを考えると、
誰もが不快に思うのも当然かも。
慶喜の妻を描いた作品も
積んでいるので、
今度ゆっくり読んでみたいと思う。

幕末の本を
たくさん読みたくなった。



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西郷どん! 上・中・下 林真理子

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2018年に放送された
大河ドラマ『西郷どん!』の
ドラマ原作本。

昨年から大河ドラマを観るようになり、
現在再放送中の『篤姫』も
毎週楽しみに視聴している影響で
購入した。

ちょうど『篤姫』と
同じ時代背景で、
主要登場人物も
ほぼ一緒なので、
スルスルと読み進めることが出来た。

薩摩の貧しい
下級武士の息子として生まれ、
温かい家庭で
助け合いながら
すくすくと育った
吉之助少年時代から、
その晩年までが
描かれている。

上・中・下巻と大作だけど、
とても読みやすく
まるで実際にドラマを
観ていたかのような読後感だった。

幼い頃から優秀で
周囲からの人望も厚かった
吉之助は、
島津斉彬に心酔し
忠誠を尽くすが、
斉彬亡き後
異母弟久光が藩主になってからの
対立が苦しい。

どちらも頑なで、
吉之助も主君に対して
なかなか頑固。
これでは相容れないよ。
2度も島流しにあっても、
島民の人々から慕われ
妻を娶り子を授かる
吉之助の生命力は、
計り知れない。

一方、
久光に忠誠を尽くす
大久保利通の出世は凄まじい。

西郷さんと利通の
後年の意見の対立は、
互いに表現の仕方は違えど
日本の未来を
良いものにしようという
信念は恐らく同じであっただけに、
複雑な気持ちになった。

類まれな求心力により
集まった若者たちの
暴走により、
田夫として静かに暮らしたかった
晩年の西郷さんの暮らしは一変したことを、
私は本書を読むまで知らなかった。
あまりにも悲しい最期に
とても驚いた。

生き残った息子・菊次郎が
語るラストが胸に沁みた。




西郷どん! 上製版 前後編 セット





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プロフィール
kokemomoです。 思春期の子供2人、子育て中。 小説、エッセイ、実用書、コミック、どれも大好きですが、暴力的なシーンの多い話はちょっと苦手です。。。
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