ぽかぽかな日々

ミステリーと恋愛小説が大好きな、雑読系主婦の読書日記です。

2019年11月

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

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あの日に戻れたら
あなたは誰に会いに行きますか?




過去に戻ることができる
不思議な喫茶店
フニクリフニクラを訪れた、
4人の女性たちの物語です。



1話目「結婚を考えていた彼と別れた女」
2話目「記憶が消えていく男と看護師の話」
3話目「家出した姉とよく食べる妹の話」
4話目「この喫茶店で働く妊婦の話」

登場人物が
店員さんと常連さんばかりなので
全てのお話で繋がっている、
アットホームな雰囲気のお話なのですが
「4回泣けます」のキャッチフレーズどおり
どれも切ない内容でした。




後悔のない人生を歩んできた人なんて
いるのでしょうか。
少なくとも
私の人生は後悔だらけです

たとえ現実が変わらないとしても
(過去を修正しても現実は変わらないルールなのです)
伝えられなかった言葉や気持ちを
届けることが出来るのだとしたら、
私も過去に戻ってみたいと思いました。


過去に戻り
後悔に一つ区切りをつけることによって
自分の気持ちや行動が変わり、
新しい「未来」が創られていくのだなと
強く感じました。
だから
過去に戻ることの出来ない私は
「今」を
一生懸命に生きて行きたい。





続きが気になるラストだったので
次回作を読むのが
楽しみです♪












切ないけれど
読了感のさわやかな
とても素敵な作品でした。

木もれ日を縫う 谷瑞恵

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図書館で何気なく手に取った一冊。
知識不足の私にとっては初見の作家さんでしたが、
本当に読んでよかったと思えた、
悲しいけれど希望に満ちた
とても心に残る作品でした。





*******
ファッション業界で働く小峰紬のもとに
1年半前、突然失踪した母親が現れるが、
面影にどこか違和感が。
しかも母は
「境界を越えてしまったために山姥になった」と
意味不明なことを言い出す始末。
紬は音信不通だった姉、
麻弥と絹代に相談する。
姉妹それぞれが
家族や仕事、恋の悩みを抱えているが、
母との出会いによって変化が・・・
*******




紬たち三姉妹は
故郷の家族が大嫌いで、
東京で暮らし始めると
里帰りもせず、田舎に残してきた母のことも
全く気にかけていませんでした。
母が行方不明になってからもです。


私も娘であり、
母でもあります。
なので
紬たちの気持ちも良くわかるけれど、
お母さんの人生を思うと
「幸せな時はあったのだろうか」と
最後まで
可哀想で胸が痛くてたまりませんでした。


なんだか
登場人物がみんな
切なくて
でも優しくて。
それぞれに感情移入しながら、
久しぶりに没頭した小説でした。



お母さんが
パッチワークによって繋ぎ合わせてくれた
姉妹の絆。
彼女たちの未来が幸せであることを
願わずにはいられません。



「再会したお母さんは本物か」
ファンタジーからミステリー
そして
家族愛に溢れた
とても素敵な作品でした。



谷瑞恵さんの別の作品も
是非読みたいと思いました。









一日の苦労は、その日だけで十分です 三浦綾子

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実は
私は三浦綾子さんの小説を
読んだことがありません。

もちろん
「氷点」や「銃口」など代表作の内容は
把握していますが、
知識としてという範囲です。

なぜかというと
私の中での三浦作品は、
やはりその内容の重さ、深さから
心の元気が満タンではないと
読み始めることが出来ないからです。
軽い気持ちで手に取ってしまうと、
気持ちを持っていかれてしまい
恐らく
家族の夜ご飯の支度は
出来なくなってしまうことでしょう。。。
(なんというヘタレ根性でしょうか・・・)



なので興味はありつつも
敬遠していた三浦綾子さんですが、
今回は入門編として
その人となりを知るために
エッセイから手に取ってみました。




人間の罪、弱さ、ゆるしを描き続けた
三浦綾子さんのエッセイは、
とても愛にあふれた作品でした。

「エッセイだから軽く読めるかな?」
なんて
軽い気持ちで手に取った私は
打ちのめされた気持ちになりました。

周知のとおり
三浦さんの人生は
病多きものでした。
壮絶な闘病生活。
愛し合いながらも死に別れてしまった
恋人への思い。
そして夫、三浦光世さんとの出会い。
そのすべてが
三浦さんの言葉で語られている
とても素晴らしい作品でした。

こんなにも苦労を重ねているのに、
「すべてが神様からの贈り物」と
考える三浦さんの心の強さ。


クリスチャンである三浦さんの
聖書を引用した言葉は、
聖書を読んだことのない私の胸にも
響くものでした。

この作品を読み
三浦さんの元恋人、前川さんや
夫の三浦光世さんのことも
もっと知りたいと思ったので、
是非
他のエッセイも読んでいきたいと思います。

そして小説も。。。
読んでいきたいと思いました。









Lily ー日々のカケラー 石田ゆり子

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女優 石田ゆり子さんのフォトエッセイです。

私はデビュー当時、
石田姉妹で「ゆり子派?ひかり派?」
などと言われていた時から
ゆり子さん押しでした(笑)
その頃は
妹さんのほうが
元気で健康的なイメージで
ドラマに引っ張りだこだったように
記憶していますが、
私は断然ゆり子押しでした(2度目)

ドラマ「逃げ恥」から
再注目されていますが、
彼女が50歳だと聞いて
驚く方は多いのではないでしょうか。




こんなに好きだと言っておいて、
私はこの本を1年間積読にしていましたが。。。💦

私はかなり初期のころから
ゆり子さんのエッセイは読んでいます。
それこそ自身が20代の結婚前からです。

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大切なコレクション達です・・・
普段は日に焼けない様に
ブックカバーを付けて大切に保管しています。
こだわりを感じさせられる装丁も
本当に素敵・・・


ゆり子さんのことが大好きで
もっと知りたいという方は、
是非この初期作品も読んでいただくと
彼女の美の秘訣や
まっすぐな心に
気持ちが浄化されること間違いなしです。
初期作品を読んでからLilyを読むと、
あまりの彼女のぶれなさに
驚くと思いますよ。

LIlyには、
ゆり子さんのお部屋やプライベートなど
素敵な写真も盛りだくさん♪
以前からゆり子さんは本好きだと公言していますが、
特注した本棚はとっても素敵で
「同じもの欲しい~」と
食い入るように見てしまいました。



動物と本を愛するゆり子さんのエッセイ。
お勧めです。







やがて満ちてくる光の 梨木香歩 

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梨木香歩さんの最新エッセイです。



今からもう6年近く前になります。
娘が中学受験のための勉強を始めたときに、
国語の読解の為に少し大人びた本を読むように勧めていました。
その時に
重松清やあさのあつこ等を読んでいたのですが
(中学受験の必須作家さん達です)
その中で一番気に入っていたのが
梨木さんの「西の魔女が死んだ」でした。
その影響で、
何でも姉の真似をしたがる息子も
受験期に読み、
梨木作品の世界観を
とても気に入って、
何度も繰り返し読んでいました。
私にとって梨木さんの本は
読書の喜びや楽しみを子ども達に
再確認させてくれた、
とても大切な作家さんの一人です。


梨木さんの文章は
とても美しくて、
特に自然への描写からは
そこへの愛を深く感じられます。


このエッセイでも、
梨木さんの好きな
森や鳥、自然に関する話が
特に多く書かれています。

なかでも
私の中で一番印象的だった話は、
自宅の庭に鳥のエサ台を作り、
そこにジュースを置いたら
1羽のヒヨドリが
通ってくるようになり、
まるでウワバミのように
全部飲み干してしまうように
なってしまった時のこと。
「鳥にジュースを与えてしまって大丈夫?!」と、
私はちょっぴりハラハラしながら読んでいたのですが
その結末は意外なものでした。
ある出来事によって
そのヒヨドリは、
あんなに歓喜していたジュースを
「なかったもの」としてリセットしてしまったのです。

梨木さんはこのことから、
何かがおかしくなり始めたときに
どの時点で
どの「快適さ」「便利さ」を
自分の意志で決意してストップさせるか。
ということを考えさせられたそうです。

同じ状況を見ても
私ではそのような考えには
到底及ばないだろうな。。。


エッセイでは
アクティブに旅行する梨木さんなど
小説からは分からない一面が知れて
とても楽しく読めました。




さてさて
長いこと積読にしてしまっている、
「家守奇譚」をそろそろ読もうかな。











「西の魔女」も再読したいな♪

プロフィール
kokemomoです。 思春期の子供2人、子育て中。 小説、エッセイ、実用書、コミック、どれも大好きですが、暴力的なシーンの多い話はちょっと苦手です。。。
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