ぽかぽかな日々

ミステリーと恋愛小説が大好きな、雑読系主婦の読書日記です。

2021年03月

これから泳ぎにいきませんか 穂村弘

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穂村弘さんの書評エッセイ集。

穂村さんの書評は様々なジャンルの本を
とても深く読み込んでいる文章が
とても素敵で面白く
大好きなのだが、
この作品は目次を見て
読むことを決めた。


それは
桜庭一樹さんの書評を読み
購入したものの、
恐らく
生きていたら同い年の彼女の
どんどん精神的に追い詰められていく様子に、
心が痛くなり途中で読むのを止めたまま
本棚にしまっていた
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こちらの作品
「八本脚の蝶」の名前を見つけたからだ。

穂村さんはこの本をどの様に感じたのか
とても気になり、
真っ先に読んだのだが
何だが既視感があった。
「八本脚の蝶」に穂村さんが寄稿した文章を
掲載したものだったのだ。

「だから読んだことがあったのか。」と、
若干拍子抜けしてしまったのだが
木地雅映子さんの「悦楽の園」の
書評の中に、
少しではあるが
夭逝された二階堂奥歯さんへの
穂村さんの気持ちのようなものが
書かれており、
胸が熱くなった。


他の作品でも
穂村さん専門の短歌が多めだが、
大好きな
桜庭一樹さんや平松洋子さん、
三浦しをんさんの書評が
掲載されており、
非常に面白かった。


ちなみにタイトルの
「これから泳ぎにいきませんか」は、
夜ご飯を食べながらの打ち合わせ中
夜の10時過ぎた頃に
二階堂奥歯さんが水着を取り出し
唐突に言った言葉だそうだ。


最近
気持ちが塞ぐことが立て続けにあり、
読書はしていたのだが
なかなかPCに向かう気持ちになれなかった。
正直、今も気持ちは塞いでいて
なかなか厄介な性格に
自分自身辟易している。
気持ちを切り替えるきっかけ探しの
意味も込めて、
読書は継続していきたいと思う。
気持ちが落ち着いたら
「八本脚の蝶」も読みたい。



















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山の上の家 庄野潤三


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戦後「第三の新人」として活躍した
庄野潤三の作家案内書。


本書では庄野潤三が長く暮らした家を
カラー写真(とても素敵)で
30ページほど紹介されているほか、
長男・長女の手記
単行本未収録随筆に中編小説
潤三氏によるお子さんたちのスケッチ等
庄野潤三の世界にたっぷり浸れる
素敵な作品だった。


潤三氏のお子さんたちの(私より年上ですが)
手記を読むと、
キラキラと輝いた
子ども時代を過ごしたことが
鮮明に伝わってくる。
読みながら自身の子ども達と
そっと重ね合わせてみた。
もっと早く庄野潤三作品を読んでいたら、
その存在を知っていたなら
違った幼少期を過ごせてあげられたかもと
少しの後悔に胸がチクリとした。

食後のトランプ遊びや絵合わせカルタ等が
娘さんがお嫁に行って人数が合わなくなるまで
続いたことや、
潤三氏が介護が必要になった際に
家族一同チームとなって
支えあっていたことから、
非常に仲の良い家族だったことが分かる。


私も小学校低学年までは
家族でよくトランプ遊びをしたことを
懐かしく思い出した。
時代が違うといえばそれまでだけれど
私も子ども達とトランプやカルタをしたが、
いつしかそれがWiiになりDSに変わった。
どこから間違えてしまったのだろうか・・・


本書に掲載されている
中編小説「青葉の笛」では、
人間魚雷という恐ろしい兵器の
搭乗員訓練学校に行くことが
決まるまでの物語だ。
これは潤三氏自身が経験したことなのだろうか。
作中には、潤三氏の親しくしていた
友人作家らしき人物も登場する。
このような死と隣り合わせの経験から
家族をとても愛し大切にしたのだろうか。
非常に胸に突き刺さる作品だった。



次は代表作「夕べの雲」を
是非読みたい。
そしてコロナが終息したら
潤三氏の自宅公開にも
参加してみたいと思った。




心の底から
もっと早くに出会いたかったと
思った作家です。









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とにかく散歩いたしましょう 小川洋子

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毎日新聞で連載されていたエッセイ集。

何気ない日常生活の中に
読んだ本や好きな本の話が
織り込まれており、
非常に面白かった。


作中には
小川さんが小説を書く時の気持ちも
赤裸々に語られている。


小説の書き始めは
「誰も書いたことがないような小説を
書いてやろうじゃないか。」と
意気込み書き出すのだが、
少しずつ風景が色づき
登場人物たちが立体的な姿を現しだしてくると、
登場人物たちは
小川さんの手の届かない場所を
さ迷いはじめるのだそう。
書き出しの頃は間違いなく
自分が彼らに言葉を与えていたはずなのに、
いつしか小川さんのほうが彼らの言葉を
聞き取ろうとして必死になっているという。
「自分は登場人物たちの物語を
書き写しているに過ぎない。」と、
小川さんは語る。

「一生懸命に書く」から
「一生懸命に聞く」に変わるなんて、
凡人の私には想像もつかず
ただただ小川さんの凄さに
圧倒されてしまった。

ちなみに
テーマも自分で決めるのではなく、
外から不意に飛び込んでくるのだそうだ。
作家さんってそうなの?
小川さんが特殊なの?
とにかく凄いの一言に尽きる。



私は、愛犬との散歩中に見かけた親子に
小川さんが抱いた思いに
強く共感した。

それは仲の良い父子で、
「世界中に何一つ嘆きなどない」と
完璧に安心顔をして笑っている
男の子を見た時のこと。

「ああ、うちの息子も昔はこんな顔していたなあ。」と
小川さんは懐かしみ、
当時はそれがどれほどあっという間に
過ぎ去ってしまう瞬間か、
気付いてなかった。
自分はあのお父さんのように、
心の底からその一瞬を味わったか。
日々のつまらない用事に手を取られ
貴重な時間を見過ごして
きたんじゃないだろうか。
手遅れで取り返しがつかないような
気分に小川さんは陥るのだが、
まさに今の私も同じ気持ちなのだ。
難しい年頃の子ども達を前に、
日々同じように思い
過ぎ去った日々を後悔している。

けれど
恐らくもっと時が経てば、
今度は今この瞬間を懐かしむ日が
訪れるのだろう。
取り返すことの出来ない日々を重ねて
私たちは生きていくのだから。













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父からの9冊

先月、実家に行った際
父の1月から2月上旬の読了本を
譲り受けたので紹介します。

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北方謙三のハードボイルド長編。
ちょっと怖そうなので、
いつか「その時」が来るまで待ちたい(笑)


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ロマンス小説です。
とても面白そうなのですが
こちらの作品なんと、
上・下巻それぞれ500ページ越え。
父はいったい何日かけて
読み終えたのだろうか。
素直に凄いと思う。


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プラナリアは以前貰ったので
間違えて買ってしまったのでしょう。
「前に貰ったよ。」などと言うと、
母に父が怒られるので
黙って受け取った。

「夜行」は図書館で借りて読んだけれど
とても面白かったので、
文庫版が手に入り嬉しい。
他2冊もとても面白そうで
読むのが楽しみ。



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ラスト2冊はミステリー作品。
北村さんの方はシリーズ作品の
最終作なので、
読む際には気を付けたいと思う。
(順番通りに読みたい気質なのです。)



どの作品もとても面白そうだけど
しばらく積んでしまいそう・・・

ちなみに父は
買ったらすぐに読むので、
積み本を所有していない。
しかも読んだら全て私に譲るので、
父の蔵書は
若い時に集めた全集しかないのだ。
それでも大きな書棚1台分あるけど
潔くて憧れる。




私も今年は積み本を本気で減らしたい~



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書斎の死体 アガサ・クリスティー

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ミス・マープル長編第2作品目。


バントリー家の書斎で
見知らぬ若い女性の死体が見つかった。
セント・メアリーミード村では
あまり見かけない
派手な身なりの女性だ。

なぜ見知らぬ女性が
バントリー家の書斎で亡くなっていたのか。
友人である妻のドリーに
ミス・マープルは調査を依頼される。


早速マープルはドリーと共に
被害女性が勤めていた
マジェスティックホテルに
潜入捜査を始め、
大富豪の身体の不自由な老人が
被害者女性を可愛がっていたことを知る。

遺産目当ての気配が漂う
大富豪の身内に、
イケメンテニスコーチ。
そして
挙動不審なホテルの客。
被害女性のいとこ。
この中に犯人がいるのか。

ところが
ミス・マープルや警察の
懸命な捜査のさなか、
第二の殺人が起きてしまう。


ミス・マープルは
冒頭の書斎で発見された
死体を検分するところから、
細かな所をよく観察している。
そして
どんなに些細な会話も聞き逃さない。
やがて犯人に辿り着いた
ミス・マープルは、
ある罠をしかける。


クリスティーの文章には
全くの無駄がなく、
全てが伏線のように感じられるので
読み手も
必死に見落としのない様に
読むのだけれど、
全く想像力が
ミス・マープルに追い付かない。
そこが
悔しいけれど
やっぱり面白いのだ。






この作品
テレビでかなり前に観たのだけれど、
すっかり犯人を忘れていたために
とても楽しく読めた。

セント・メアリーミードの
噂の恐ろしさも健在。
ちなみに
この村では電話をかける時間にまで
色々とルールがあるらしい・・・


ストーリーとは直接関係ないけれど
前作の 
クレメント牧師と若き妻グリゼルダの間に
可愛い赤ちゃんが生まれていたことに感激。
幸せそうに暮らしていてよかった。















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プロフィール
kokemomoです。 思春期の子供2人、子育て中。 小説、エッセイ、実用書、コミック、どれも大好きですが、暴力的なシーンの多い話はちょっと苦手です。。。
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