ぽかぽかな日々

ミステリーと恋愛小説が大好きな、雑読系主婦の読書日記です。

2023年03月

若きウェルテルの悩み ゲーテ

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1774年、ゲーテ25歳の時の作品。
ゲーテ自身の
絶望的な恋の体験をもとにした、
書簡体小説。

婚約者のいる美しい女性ロッテに
激しい恋心を抱いたウェルテルは、
一時は
叶うことのない恋心を
諦めようと
ロッテから遠ざかる。

けれど
視野が狭く
思い込みの激しい彼は、
新しい土地でも
上手くいかずに、
ロッテ恋しさに
元の土地に戻ってきてしまい、
破滅への階段を
自ら登っていく。

第2部までの
ウェルテルの書簡のみを
読んでいるときには、
「ロッテも自分に好意を抱いている」
とか言っちゃって、
思い込み強いわ〜と
思っていたけれど、
後に
ロッテもウェルテルのことを
親しく思っていたと知り、
何とも複雑な
気持ちになってしまった。

けれど
ロッテや夫のアルベルトが、
ウェルテルのことを
上手く諌められたとしても、
ここまで思い込みが激しくて
激情型かつ繊細だと、
いずれ同じことを
繰り返してしまっただろう。

ウェルテルのロッテを
思慕する様は
結構露骨。
彼女の兄妹を手懐けたり、
ロッテが触れたものに
接吻しまくったり、
後者はちょっとキモい。
若いってことか。

詩情的な表現が美しく、
想像以上に面白かった。
(悲劇だけど)


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夫婦善哉 織田作之助

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2007年に発見された
未発表原稿
「続 夫婦善哉」を含めた、
著者の代表的な短編小説
7作品が収録されている。

『夫婦善哉』
『続 夫婦善哉』

浮気者で金遣いの荒い
駄目亭主・柳吉と、
働かない柳吉の代わりに
必死に働き尽くす
妻・蝶子。

商売を始めるために、
欲しい着物も買わずに
必死に節約して貯めた金を、
柳吉に盗まれ
娼妓につぎ込まれた挙げ句に、
ようやく
始めた商売は、
柳吉の飽き性が原因で
せっかく軌道に乗っていたのに
辞める羽目になる。
それも何度も。

どうして別れないのかと
不思議に思ったけれど、
それは
惚れた蝶子の弱みか意地なのか。
もとは愛し合い、
駆け落ちまでして
結ばれた仲なのだ。

何だかんだと
修羅場をくぐり抜けながら、
夫婦生活を続けるふたり。
蝶子の切実な悲願が、
続編で叶えられて
本当によかった。

他5作品も大方
これでもかと言うくらい、
救いようのない
駄目男が登場する。
それが
あまりにも自己破滅的なので、
正直読んでいて
しんどくなる作品が多かった。
私は破天荒な男が
苦手なのだなあ。

戦前戦後の大阪の様子が
情緒豊かに描かれており、
軽快な大阪弁が心地よく
響いてくる、
素敵な文章の作品だった。


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購入本紹介

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集めている「坂の上の雲」。
もう5巻まで揃えられたので、
そろそろ読み始めようか。

磯田さんの作品は、
映画「殿、利息でござる」の原作本。
映画は先日アマプラで観たのだけれど、
とても面白かったので
原作も楽しみだ。

「壬生義士伝」も映画がとても良かったので、
上巻しか置いてなかったけれど
購入してしまった。

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富士日記(上)が本当に面白かったので、
即、中巻も購入。
ポチするときに、
一緒に三島由紀夫も購入しました。
いつか三島作品読破したい。



吉屋信子は、
田辺聖子さんが書いた伝記小説も
積んでいます。
さて、どちらを先に読もうか。

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ようやく「ぼんくら」手に入れました。
ドラマ再放送は終わってしまったけれど、
これから読むぞ。

「初ものがたり」は、
前回読んだ作品の完本です。



朝井まかては大好きな作家さん。
来月からスタートの朝ドラ「らんまん」の
主人公を描いている、
「ボタニカ」が欲しい。


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恩田陸と小池真理子は、
面白そうな作品を見つけたら
買うようにしています。
特に小池真理子の描く女性の
心情心理がとても好きだ。

集めているけれど、
まだ未読の森博嗣。
そろそろ読もうとは、
いつも思っている。

以上が3月の購入本
18冊でした。

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予告殺人 アガサ・クリスティー

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ミス・マープルシリーズ
長編第4作品目。

ある朝
住民の殆どが読んでいる
地元新聞の個人広告欄に、
殺人予告が掲載された。

「殺人予告お知らせ申し上げます。
10月29日金曜日
午後6時30分より、
リトル・パドックスにて。
お知り合いの方のお越しを
お待ちします。」

これは本当の殺人予告なのか、
それとも
悪ふざけのパーティーのお誘いか。

興味津々の村人たちは、
リトル・パドックスに集まった。

リトル・パドックスには
面倒見のよい初老の婦人が、
従弟や旧友たちと住んでいたが、
彼女たちにとって
その新聞広告は寝耳に水だった。

そして
指定された時刻。
突如暗闇となった室内に、
銃声が響きわたった。


今回の事件の舞台は
セント・メアリーミードではないが、
甥のレイモンドの計らいにより
宿泊していたホテルが、
偶然にも
事件関係者の勤務先であったことにより、
ミス・マープルは堂々の登場である。

穏やかな佇まいで
他人に気を許させるミス・マープルは、
それとは裏腹の
鋭い観察眼によって、
人々の会話の端々から
複雑に絡まった不可解な謎を
解きほぐしていく。

登場人物の会話の中に
細かな伏線が
たくさん含まれているので、
読んでいる私も
ミス・マープルに負けないように、
注意しながら読み進めていく。

犯人の動機らしきものが
見えてきたところで起きる、
第2・第3の殺人事件。
犯行が重なるに連れ
周到さが失われていくところに、
追い詰められていく
犯人の心情が垣間見えてくる。

ラストでは
前作同様に、
ミス・マープルの
無鉄砲なお転婆ぶりが見られる。
犯人の目星もあたり(笑)、
満足の読後感だった。

クリスティの作品の特徴として、
当時の時勢が
生き生きと描かれているところや、
けして
少なくない登場人物たちの
人物像が鮮やかに描かれているところ。
そしてなによりも、
犯行に至るまでの詳しい経緯が
丁寧に描かれているクリスティ作品が、
私は大好きだと
改めて思った作品だった。




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欲望 小池真理子

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図書館司書の青田類子が、
電車で
とある場所に向かいながら、
過去を回想していく。

類子は中学生時代、
豊満な身体から
溢れ出る性的魅力ゆえに
女子生徒に嫌われていた
美少女・阿佐緒と、
生徒会副会長を務め
みんなの人気者で、
成績優秀の美しい少年・正巳と
親しくしていた。

類子は密かに
正巳に好意を寄せていたけれど、
正巳が愛していたのは
阿佐緒だった。

この3人が
十数年の時を経て
偶然再会したとき、
運命の歯車が動き出す。

親よりも年上の男性と結婚し、
三島由紀夫邸を寸分違わず
模倣した屋敷に住む阿佐緒。

妻子ある男性と
肉欲だけの関係に溺れながら、
再会した正巳に
強く惹かれていく類子。

そして
美しい青年に成長した正巳は、
学生時代に巻き込まれた
事故による怪我の影響で、
性的不能者となっていた。

叶うことのない
阿佐緒への想いを、
未だに持ち続ける正巳。
そんな正巳を
肉欲ではなく心から愛してゆく類子。

正巳の秘密を唯一
打ち明けられている類子の、
やるせない気持ちが切ない。

自分の思い込みに囚われ、
次第に自身を失っていく阿佐緒。

自らの欲望が叶わずに
深い絶望を抱き続ける正巳。

彼らの苦しみが
これでもかと襲いかかってくる。

心が通じ合っているだけでは
駄目だったのだろうか。
行き場の失われた欲望を抱えて
生きていくということは、
それ程までの絶望だったのだろうか。

類子に感情移入しながら
読んでいたので、
ただただ哀しかった。

作中、象徴的に何冊も出てくる
三島由紀夫の作品を、
読んでみたいと思った。


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プロフィール
kokemomoです。 思春期の子供2人、子育て中。 小説、エッセイ、実用書、コミック、どれも大好きですが、暴力的なシーンの多い話はちょっと苦手です。。。
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