FullSizeRender

彼岸花の咲き乱れる砂浜に倒れ、
記憶を失っていた少女は
海の向こうから来たので、
宇実(ウミ)と名付けられる。

宇実の流れ着いた島は
ノロと呼ばれる指導者が統治しており、
ノロになれるのは代々
女語を話すことができる女性だけで、
彼女たちだけしか
島の歴史を知ることはできない。
男性は女語も島の歴史も
一切知ることはできないが、
ノロに憧れている少年・拓慈(タツ)は
内緒で女語を習得している。

ノロに憧れている少女・游那(ヨナ)と共に
ノロを目指すことになった宇実は、
女性が統治する島の
深く悲しい歴史に導かれていく。





島の風習は独特で
「婚姻」や「家族」という形式はなく、
血へのこだわりも全くない。
子どもは島の宝として
学校の幼児部に預けられて
2歳までノロが育て、
その後、島の成人から養育希望者を募り
男女問わず希望した島民が「オヤ」となり、
子どもを成人まで育てる。
女性が男性や家に縛られることがないのだ。

他にも
ノロしか行くことの出来ない
海の向こうにある
宝物をくれる楽園「ニライカナイ」など、
読んでいて「おや?」と思う箇所がいくつもあり
全ての疑問はきちんと回収されていく。

最初は宇実の話す「ひのもとことば」に
游那たち島民が使う「二ホン語」
そして歴史を受け継ぐために
女性だけが知ることが出来る「女語」と、
何だかややこしくて
読み難く感じたが、
慣れてくると
あっという間に
世界観に引き込まれていった。

実際確かに
そういう息苦しさはあるのだけれど、
他国から見た日本って
こんなにも多様性を認めない、
排他的な国に見えるのかなと
少し悲しい気持ちになった。
また、
「楽園」までとはいかなくても
平和な暮らしを維持していくためには、
相当な努力なくしては
叶わないのだということを
改めて考えさせられた。

宇実と游那の決断が
良い方向に導かれていくことを
心から祈りたいと思う。




















にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村



読書日記ランキング