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東京の救命救急センターで働いていた
62歳の医師・白石佐和子は、
ある出来事の責任を取り
病院を辞めることになる。

38年ぶりに故郷の金沢で
暮らすことになった佐和子は、
金沢で幼馴染の仙川が営む
「まほろば診療所」で
在宅医療に携わることになる。
救命救急とは全く異なる
患者との関り方に初めこそ戸惑うが、
患者や介護する家族の気持ちに
寄り添い、
その患者にとって
最も適した医療を
真摯に追い求める。
佐和子のその誠実な姿勢は、
多くの患者や家族に信頼されていく。

在宅医療というものは
ただ治療をするということだけではなく、
患者や家族が
如何に心穏やかに
過ごせるかまで
気を配らなければ、
そもそも医療が成立しないということを
初めて知った。

母は既に亡くなっており、
元大学病院の神経内科の医師であった父と
仲睦まじく暮らす日々は
とても静かで穏やかな日常だった。
父が骨折をするまでは・・・

父は骨折をきっかけに
なし崩し的に病魔に襲われる。
元医師だったため
自分の現状をよく理解している父が
佐和子に頼んだことは、
驚くべき内容だった。

父親が実の娘にその様なことを頼むのかと
少し驚いたけれど、
それほど父の苦痛は辛いものだったのだろう。
辛い体を鼓舞して書いた
父からの手紙を読むと、
胸が張り裂けそうになった。
そして
それだけに
ラストの佐和子の行動には
全く納得がいかなかった。
それは父が望んでいた結末とは
真逆のものではないだろうかと
思えてならないのだ。



・老々介護
・在宅医療でできうる最先端医療
・セルフ・ネグレクト問題
・終末期医療
・小児がん患者とその家族

これらのテーマを短編で描いており
どれもとても考えさせられる作品だった。
個人的には
終末期医療の家族の物語に
特に引き込まれた。

医療系の小説は難しいイメージが
あったのだけれど、
この作品は
医療の専門用語も
分かりやすく説明されており、
とても読みやすかったし、
知らなかった知識に触れることが出来て
とても勉強になった。
また
作中に美味しそうな郷土料理が
沢山出てくるので、
金沢に行って
美しい自然を楽しみながら、
郷土料理をぜひ食べてみたいと思った。















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