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10世紀末ごろに書かれたと思われる
作者不明の作品
「落窪物語」を、
田辺聖子さんにより
読みやすく現代語訳された作品。

千年前、平安朝時代に
日本でもシンデレラ物語が書かれていたことを、
恥ずかしながら初めて知った。
「落窪物語」という名に覚えはあるので、
すっかり記憶から
抜け落ちてしまっていたのかもしれない。

この作品の主人公は、
本当は皇族の血を引く
高貴なお姫様なのに、
母の死後
継母による壮絶ないじめに合う。
みすぼらしい着物を着せられ
みすぼらしい部屋に押し込められ、
ろくに食事も与えられずに
一日中縫い物をさせられている。
呼び名も「お姫様」ではなく、
落ち窪んでいる部屋にいるので
「おちくぼ」と呼ばれている。

優しい性格で
決して人を恨んだりしない
心の美しいお姫様は、
姿もとても美しい方だった。

彼女のことを
とても慕っている
女房の阿漕は、
夫の帯刀の協力を得て
「おちくぼ姫」を救おうと奮闘する。

そんなある日、
帯刀が仕えている
都でも評判の貴公子、
右近の少将が
「おちくぼ姫」に恋に落ち求婚する。

一途な少将に
心動かされる姫様だけれど、
ふたりの間を引き裂こうとする
継母の魔の手が伸びる・・・

お姫様を救い出す場面から
ラストまで爽快かつ痛快で、
とても面白かった。
少将や阿漕たちによる
継母への復讐も、
後味の悪いものではなく清々しい。

少将のお姫様への溺愛ぶりは
今の若者よりもむしろ情熱的に感じられ、
千年の時を経ても
人を愛する気持ちに変わりはないのだと
改めて思った。










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