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三島由紀夫の自選短編集。
13篇が編まれている。

表題作「憂国」が読みたくて購入した。

「憂国」は、二・二六事件に加担し、
逆賊として断じられた親友たちを
討たねばならぬ懊悩に
自刃を決意した武山中尉と、
夫の覚悟に添う妻の最期までを
壮絶に描いた作品。

結婚後わずか半年。
不吉なものを感じる程、
美男美女の若き夫婦。
幸せで濃厚な新婚生活は
あまりにも短く、
死と情交は
対極的なものであるはずなのに、
自刃の最期の時までもが
濃密で官能的だ。
目前に情景が
浮かび上がり、
小説の世界に少し酔ってしまった。
とても素晴らしい作品だった。

「憂国」以外の作品では、
「海と夕焼」
「新聞紙」
「牡丹」
「百万円煎餅」
が、特に心に残った。
どの作品も
読了後に残る
複雑な余韻がたまらなく、
非常に好みな作品だった。
是非予備知識なしで
読んでもらいたい。

高校時代「金閣寺」を
途中で挫折して以来、
手にしていなかった三島作品。
短編から読み始めたからか
昔に感じたほどの読みにくさは感じず、
逆に美しい世界観に圧倒された。
次は長編読むぞ。




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