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ミス・マープルシリーズ
長編第4作品目。

ある朝
住民の殆どが読んでいる
地元新聞の個人広告欄に、
殺人予告が掲載された。

「殺人予告お知らせ申し上げます。
10月29日金曜日
午後6時30分より、
リトル・パドックスにて。
お知り合いの方のお越しを
お待ちします。」

これは本当の殺人予告なのか、
それとも
悪ふざけのパーティーのお誘いか。

興味津々の村人たちは、
リトル・パドックスに集まった。

リトル・パドックスには
面倒見のよい初老の婦人が、
従弟や旧友たちと住んでいたが、
彼女たちにとって
その新聞広告は寝耳に水だった。

そして
指定された時刻。
突如暗闇となった室内に、
銃声が響きわたった。


今回の事件の舞台は
セント・メアリーミードではないが、
甥のレイモンドの計らいにより
宿泊していたホテルが、
偶然にも
事件関係者の勤務先であったことにより、
ミス・マープルは堂々の登場である。

穏やかな佇まいで
他人に気を許させるミス・マープルは、
それとは裏腹の
鋭い観察眼によって、
人々の会話の端々から
複雑に絡まった不可解な謎を
解きほぐしていく。

登場人物の会話の中に
細かな伏線が
たくさん含まれているので、
読んでいる私も
ミス・マープルに負けないように、
注意しながら読み進めていく。

犯人の動機らしきものが
見えてきたところで起きる、
第2・第3の殺人事件。
犯行が重なるに連れ
周到さが失われていくところに、
追い詰められていく
犯人の心情が垣間見えてくる。

ラストでは
前作同様に、
ミス・マープルの
無鉄砲なお転婆ぶりが見られる。
犯人の目星もあたり(笑)、
満足の読後感だった。

クリスティの作品の特徴として、
当時の時勢が
生き生きと描かれているところや、
けして
少なくない登場人物たちの
人物像が鮮やかに描かれているところ。
そしてなによりも、
犯行に至るまでの詳しい経緯が
丁寧に描かれているクリスティ作品が、
私は大好きだと
改めて思った作品だった。




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