またまた乱歩先生♪
「江戸川乱歩傑作選」です。
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二銭銅貨
二はい人
Ⅾ坂の殺人事件
心理試験
赤い部屋
屋根裏の散歩者
人間椅子
鏡地獄
芋虫
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この作品集に収録されている9作品は
「芋虫」(昭和4年)を除いて
すべて大正13年から15年にかけて発表されたもので、
乱歩先生の初期短編の中から、代表的なものを集めたそうです。
傑作選のなかで私が初見だった作品は
二銭銅貨
Ⅾ坂の殺人事件
心理試験
赤い部屋
の4作品でした。
「二銭銅貨」は暗号トリック物なのですが、
ラストの展開で「クスッ」と笑えるユーモアもある作品でした。
乱歩先生の作品はどの作品も画期的なものに違いはないのですが、
当時のミステリーで暗号物はとても珍しかったと思われます。
「Ⅾ坂の殺人事件」は
我らは明智小五郎先生初登場の記念すべき作品です。
この作品ではまだ明智先生は無名の存在です。
しかも友人に犯人ではないかと疑われてしまうという・・・
けれどそのような疑念など明智先生はすぐに
見事な推理で晴らし、
真犯人を見つけてしまいます。
さすがは明智先生!
この作品は当時の日本家屋では西洋の作品の様な
密室殺人など書けないという規定概念を覆した作品だそうです。
「心理試験」は人間の深層心理を深読みし
逆手に取ろうとし過ぎたために
自らの墓穴を掘ってしまった犯人のお話。
こちらもすでに有名になった明智先生が登場します。
明智先生が犯人に仕掛ける罠はとても見事でした。
「赤い部屋」はとある特殊なクラブに
自らの殺人遊戯の話を告白する男のお話。
99人を警察には捕まらない方法で殺したという
男の話のおぞましさにゾワゾワしましたが、
この作品も乱歩先生の得意のどんでん返しがラストに待っています。
傑作選の中ではこの作品が私は1番好きでした。
そして既読ではありますが語らせてください。
グロテスク趣味の極限を代表し、
戦争中、乱歩先生の作品の中で唯一販売禁止になった作品
「芋虫」
私はこの作品が少々苦手でして・・・
戦争の惨さが伝わることから反戦作品なのでしょうが、
両手両足を切断され耳も聞こえず口もきけない状態で
生きて戦地から帰ってきた夫。
その夫と過ごす妻は
不自由な夫を「芋虫」のようだと思うようになり
夫を虐待することに喜びを感じるようになる。
身体のあらゆる機能を失った夫だけれども
「目」だけはギラギラと物を言っていることに気づいた妻は・・・・
続きが気になる方は是非
傑作選をお読みください。
なんとなく妻の心理のわかる自分自身に
私はゾッとしてしまいました・・・