ぽかぽかな日々

ミステリーと恋愛小説が大好きな、雑読系主婦の読書日記です。

海外作家

奇巌城 ルブラン 



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深夜の伯爵邸を襲った怪事件。
秘書が刺殺され、
秘密裏に絵画が盗まれていた。

逃亡中に、
伯爵邸に住んでいた
レイモンド嬢により
重傷を負わされたはずの
ルパンは、
忽然と姿を消した。

そして
ルパンの手下により、
レイモンド嬢が誘拐される。

残された暗号の謎と、
レイモンド嬢とルパンの行方を追う
高校生探偵イジドールに、
ルパンの魔の手が伸びる・・・

初めてのルパン。
とても面白かった。
冒頭でさっそく殺人事件が起き、
『ルパンは人殺しはしないのでは?』
と、不審に思ったけれど
あっけなく謎は解ける。

物語中盤から、
冒険小説に変化していく様が
素晴らしくて、
ワクワクしながら
あっという間に
読了してしまった。

作中、
追われる側のルパンと
追う側のイジドールが
親しくする様が、
非常に呑気だ。

ルパンに脅されて
『おとうさん、おとうさん』と、
イジドールが泣き出し
(彼は高校生)、
ルパンが可哀想に思ったり
(自分が脅した)、
ルパンの変装に騙された直後に
彼に車で
パリまで送ってもらったり。

『どうなってるの?』
と、ちょっと笑ってしまうくらい
二人が馴染んでいて、
心地よかった。

ラストは突然の悲劇が
ルパンを襲う。
いやいや
ホームズの描き方、
酷すぎるだろう。

ラストで
完全にルパンに
心を鷲掴みにされてしまった。
次の作品も楽しみだ。



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アンの青春 モンゴメリ

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「赤毛のアン」シリーズ2作品目。

前作で
クイーン学園を卒業したアンは、
自身も通っていた
アボンリーの小学校の教師となる。

慕ってくる子どもたちに
喜びを感じつつも、
アンに反発する
生徒の扱いに悩み、
自分自身も
教師として、
共に成長していく姿が
とても逞しかった。

隣に越してきた
気難しい隣人・ハリソンさんとの間に
アンが引き起こしてしまった
驚きの事件や、
マリラが引き取ることになった
双子たちとの
賑やかな日々。

アンとマリラの
楽しそうな日常に触れ、
暖かい気持ちになる。

マリラ推しの私としては、
本作のマリラが
アンのことを、
素直に信頼し
頼りにしていることが、
何よりも嬉しかった。
何でも相談し合う二人は、
血の繋がりを超えた
強い絆で結ばれているとしか
思えない。

そして、
前作で仲直りした
ギルバートとも
良い関係を築いているけれど、
いつになったら
二人の仲は
進展するのかな?

アボンリーの小学校で教師をした
アンの2年間を描いた物語。
アンやダイアナたちの成長が、
キラキラと眩しい。

未来への希望のある
ラストに、
次回作が楽しみでならない。



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月と六ペンス サマセット・モーム

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若き小説家の『私』は、
夕食会で友人の夫で
冴えない中年の、
チャールズ・ストリックランドと出会う。

ロンドンで証券取引所の
仲買人として
確固たる地位を持ち、
妻と子に恵まれていた彼は
ある日、
忽然と行方をくらませてしまう。

パリで再会した
ストリックランドが、
『私』に話した
失踪の真相は、
驚くべくものだった。

そして
他人の気持ちを
汲むことをしない彼は、
自身の情熱のために
さらなる悲劇を起こしていく。

小説家の『私』の視点から、
中年になってから
画家になることに
情熱を燃やす
ストリックランドの
人生を描いた物語。

新訳のおかげか、
とても読みやすいうえに
物凄く惹きつけられる
ストーリー展開に
目が離せず、
一気読みだった。

『私』がパリで、
ストリックランドと
友人として過ごした日々。
そして
彼の死から9年後、
彼の最期の地である
タヒチを訪れ、
壮絶な死の真相を
辿っていく様子が
描かれている。

自身の情熱のために、
女性や友を
まるで
道具のように扱う
ストリックランドに対して
全く共感出来ないのに、
その生き様に
どんどん
惹きつけられていく。

忘れ難い
素晴らしい物語だった。


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キャロル パトリシア・ハイスミス

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クリスマス商戦で賑わう
デパートのおもちゃ売り場で、
臨時雇いの
アルバイトをする
19歳の女性テレーズは、
美しい人妻キャロルと出会う。

恋人のリチャードに対して
違和感を感じていた
テレーズは、
キャロルに恋心に近い
感情を抱き始めていた。

離婚調停中の
キャロルに誘われ、
まるで
現実から逃れるかのような
自動車旅行へと
旅立つ2人。

彼女たちを
待ち受けていたのは、
恐ろしい運命だった。


以前観た映画が
素晴らしかったので、
期待して読んだ原作本。
テレーズとキャロル、
そしてキャロルの友人・アビーの
葛藤が繊細に描かれており、
期待通りの素晴らしさだった。
そして
思いの外リチャードが、
ねちっこくて
嫌味だった。
なんで
テレーズは付き合っていたんだ?

本作品が出版された
1952年当時では、
あり得なかったという
結末には、
映画を観た際に
驚かされた。
勿論嬉しい驚きだ。

終始
不安と緊張に包まれた
物語の雰囲気が、
映画で見事に
再現されていたということを、
本作品を読み実感した。

もう一度、
映画の美しいキャロルに
会いたくなった。





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かもめ チェーホフ


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チェーホフの戯曲。
『四幕の喜劇』とあるけれど、
私には
登場人物たちが
それぞれに、
叶わぬ恋に苦しむ
悲劇のように感じられた。

作家志望のトレープレフと
女優を志す女性ニーナ。
若い二人を中心として、
物語は進んでいく。

愛しているニーナに去られ、
作家としても芽が出ず
苦しむトレープレフに、
夢破れ
自責の念に苦しむニーナ。

噛み合うことのない歯車は、
悲劇的な結末を迎える。

登場人物たちに
あまり
感情移入することが出来ず、
サラッと読了してしまった。

狭い人間関係の中で、
お金や情愛、嫉妬が
絶え間なく蠢いている。

トレープレフは、
小説家の
トレゴーリンの言葉の如く、
かもめのように
自由で幸せに
なりたかったのだろうか。

しんみりしながら
解説を読んでいたら、
思わぬ解釈のパロディが
あることを知り、
そちらの方に
断然
興味をそそられてしまった。


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プロフィール
kokemomoです。 思春期の子供2人、子育て中。 小説、エッセイ、実用書、コミック、どれも大好きですが、暴力的なシーンの多い話はちょっと苦手です。。。
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