1927年(昭和2年)、
「新青年」に掲載された作品。
貧しい二人暮らしの姉弟。
生まれつき
喋ることの出来ない姉は、
身を削るようにして働き
愛しみながら
弟を育てていた。
弟が大人になることを
頑なに嫌がっていた姉だったが、
やがて弟には髭が生え
性に目覚めてしまう。
「私は、姉を食べて大きくなったようなものだ。」
最初は感謝の言葉であったはずなのに、
読了後には
とてつもなく
この言葉にリアルな重みが増してきて
身悶えしてしまった。
驚きの伏線回収とともに、
タイトル「可哀想な姉」の意味合いも
初めとは全く異なってくる。
弟による一人称での淡々とした語りが、
物語に更なる薄気味の悪さを加えている。
イヤミスは苦手なのだけれど、
短編なので
意外とサラッと読むことが出来たが、
あまりの後味の悪さに
ゾクッとした。
若くして事故死されてしまったため
作品数はあまり多くはないけれど、
渡辺温さんの他作品も、
もっと読んでみたいと思った。
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